ジリオのコーヒー

<珈琲とはそもそも「何か」>

コーヒーという飲料は、アカネ科の「コーヒーノキ」という樹木の種を煎って(焙煎といいます)湯で浸漬して飲むものです。
焙煎すると平均7μとも言われる小さい孔がたくさん空いて、その孔の一つ一つに800種類もの香味成分が発生して、これを湯に溶かし出して飲むのです。

この800種類の香味成分は、時間の経過とともに減少し、焙煎から8日目には60%も失われてしまいます。
言ってみれは、コーヒー豆は「生鮮食料品」なのです。
しかし残念ながらコーヒー豆は生鮮食料品の流通ルートには乗らず、大手のロースターが大量に焙煎し倉庫に保管していたものを出荷しているというのが現状です。

しかし、焼きたてであればいい、というものでもないのがコーヒー豆の難しいところ。
カフェジリオでは、厳選した生豆(なままめ)を、低温投入法という丁寧な方法で焙煎しています。
どうか一度お試しいただきたいと心から思っています。

<コーヒーは酸っぱくても苦くてもいけない>

そして、コーヒーという飲料は、味を表現するのが難しい。
それはコーヒーの味が「苦い」からです。
苦い味は毒物ではないかという警報を脳に送り、我々は恐る恐るその苦味を味わってみることになるからです。
その緊張感がコーヒーという飲料の本質的な効能だとも言えますが。

だから、多くの人が、「酸っぱい」か「苦い」かだけでコーヒーの味を判別しています。
しかし、生のコーヒー豆はそのまま食べると、どんな国どんな品種の豆だろうと酸っぱい味がするものです。
焙煎とは焦がす作業ですから、深く焙煎すると苦くなり、やはり国や品種に関係なく苦いものになります。

ちょうど良く焼いた豆は、厭な酸味を感じることもなく、程よい苦味とともに育った土地の土が作り出した風味を感じさせてくれます。

この、豆の風味を最もよく引き出す焙煎の具合を「完煎」と呼んでいます。
美味しい完煎のコーヒーを、お楽しみください。

<コーヒーの種類とブレンドの「誤解」>

お店に行くとたくさんの種類の珈琲豆が売られていますが、そのほとんどがアラビカ種というたったひとつの品種が、自然に、あるいは人工的に分化していった亜種からなるほぼ同一の品種です。
育った土地が違うことで、あれだけ様々な香味が生まれてくるのです。
よって必然的にコーヒー豆の名前は、土地の名前になります。

コーヒーノキの原産国であるアフリカ東部からは、モカコーヒーの名で知られるエチオピアと、これまたキリマンジャロの通名で有名なタンザニアのコーヒーをラインナップ。

あまりにも有名なマンデリンコーヒーを生産しているインドネシアを中心に、高品質コーヒーを擁するアジア地区からは、もちろんマンデリンと、パプア・ニューギニアのコーヒーをご用意しています。

そしてアメリカという大消費地を背景に、成長した中南米のブラジル、コロンビアも欠かせないアイテムとしてラインナップしています。

それぞれの豆の香味・風味は明確に異なりますが、いくら言葉を重ねて表現してみても、もどかしくて虚しい。
それに、厳選した各国の豆は豊かな香味を持っていて、それを最大限引き出す「完煎」で焼いた豆は、時に個性が先に立ち一本調子に感じることもあります。

それらを立体的に組み合わせて美味しいブレンドを作るのが珈琲焙煎士の何よりの腕の見せ所なのです。
カフェジリオでご用意したブレンドは二種。
ジリオブレンドは、エチオピアとタンザニアとパプア・ニューギニアの等量配合。
繊細さと複雑さを持ち、時間による風味の変化も味わえるブレンドです。
深煎りブレンドは、マンデリンとブラジルとコロンビアの等量配合。
深煎りにして珈琲の豆味を潰してしまわずに、苦味を「面」で展開して深煎り珈琲の強さを味わうために作ったブレンドです。

ブレンドよりストレートが美味しいなんて哀しい「誤解」をぜひ解きたい。そんな思いで作っています。

どうぞご賞味ください。

<コーヒーの抽出にはKONO式をおススメします>

カフェジリオでは、ドリップにはKONO式を使っています。
ペーパードリップは、最も手軽で最も本格的な抽出のできる器具だが、様々なカタチがあり選択に迷うところ。

ドリップでは基本的に重力の力で湯を引っ張ってもらうことで珈琲の旨味成分を抽出するのだから、注湯面から抽出口までの距離が長いほうが抽出に有利なのです。
そのために最も自然なカタチが円錐形であることを考えると、抽出器具はこのコーノ式しかないと思います。

しかも、もともとプロのカウンターマン用に作られたKONOのロゴがついているだけで、なんだか上手に入れられそうな気がするから不思議なもの。いや、他の円錐型ドリッパーと比較してみると、リブの立て方に絶妙な技が凝らされていて実際に上手に入るのです。